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2008年04月13日

自然と共存する河川整備


4/12「北海道の川と暮らしから公共事業のあり方と展望を考えるシンボジウム」開催(札幌市)

 今回のシンボジウムは
 「北海道の川と暮らしから
 公共事業のあり方と展望を考える」として
 北海道自然保護協会、
 北海道の森と川を語る会などの6団体が主催。
 また協賛として
 大雪と石狩の自然を守る会、
 遊楽部川の自然を守る会など
 10団体等で開催されました。

 21世紀に入り自然と人間との共存が
 重要な課題となっています。
 今年七月に洞爺湖畔で開催される
 G8サミットでも環境は
 最も重要なテーマとなっています。

 治水や利水目的のために建設されてきたダムは
 河川環境を変え河川生態系を劣化させています。
 自然の流れに逆らうのではなく
 自然と共存する別な方法が
 模索される時代となってきました。

 国連は
 貧困や飢餓の減少や
 持続可能な環境の確保などの
 ミレニアム開発目標(
 達成期限は2015年)を掲げましたが
 目標達成のためには
 生態系の劣化を克服することが
 最大の課題であると述べています。

 人間が行う改変によって生態系が劣化して
 生態系サービス
 (人間は生態系の一部を成すものであり
 生態系から食料や気候調整その他の
 サービスを受けている)が失われ、
 劣化のコストはしばしば
 あるグループの人々から
 ほかの人々に転嫁されるか、
 将来世代に転嫁される
 と述べられています。


 今回の「北海道の川と暮らしから
 公共事業のあり方と
 展望を考えるシンボジウム」は
 北海道内で現在建設中もしくは
 計画中のダムについて
 ダムが生態系に与える影響
 ダムの有効性
 ダムの費用対効果や
 経済的効果などについて検討し
 自然と共存を図る治水や利水について
 道内各地域で取り組んでいる報告に基づいて
 各専門家も参加して
 今後の方向性を探りました。

 天塩川の自然を考える会代表の
 宮田修氏は
 天塩川水系・サンルダムによる
 サクラマスへの影響について
 北海道開発局は
 サンルダムでは魚道の設置などの保全対策をし
 サクラマスの保全に
 配慮すると説明していますが
 サクラマスの産卵床調査の結果から
 次の世代その川に帰ってくる
 サクラマスの親魚が
 魚道の入り口がわからない
 体力の消耗のため魚道を上りきれない
 産卵場所がダム湖に水没している等々で
 親魚は半分になってその繰り返しが続くと
 限りなく親魚の遡上率が少なくなっていく
 可能性が考えられますと報告。

 前川光司前北大教授(魚類生態学)は
 サクラマスの生態系と保全と題して講演し
 サクラマスは多くのサケ科魚類と
 同様複雑な生活史を持ち
 雌と一部雄はほぼ2年目の春に
 銀毛(スモルトと呼ぶ)に
 変態し川から海に降りる。

 1年間海洋で生活したのち
 春から夏にかけて河川に遡上し
 9~10月に産卵母川回帰が強い。
 河川生活期間が長いために
 その生息は川の環境に大きく依存
 特に河畔林は重要な意味を持つことが知られている。
 渓畔林から供給される倒流木は淵を形成して
 ヤマベ(ヤマメ)の生息数に影響を与える。

 渓畔林は輻射熱を遮断して川の温度上昇を防ぎ
 冷水性のヤマベの生息を助けることになり
 川の環境多様性もヤマベの生息に影響する。

 川に残留したヤマベと遡上してきた
 サクラマスがペアとなり
 産卵集団が形勢されることにもにり
 遡上不能なダムはサクラマスに
 決定的な影響を与えることになる。

 これまでに建設された
 ダムにつくられた魚道との関係から
 サクラマス資源が魚道によって資源維持がないこと
 シロサケとは違って放流による
 資源の回復が難しいことなど
 北海道がサクラマスの分布の中心であることから
 ダム建設の影響は大きいと予測されますと述べました。


 また今本博健京都大学名誉教授(河川工学)は
 自ら研究者として係わってきた
 河川整備での反省を踏まえて
 とくに問題なのは治水と利水を主体とした
 河川整備が環境に重大な影響を
 及ぼしたことである。

 もともと河川管理者の河川環境への意識は低く
 これまでの河川整備により多様な生物の生息
 生育環境の多くが失われた。

 これまでの治水の構造的欠陥を
 是正するためには
 いかなる規模の洪水をも対象とする
 河川環境に重大な影響を及ぼさない
 河川対応を流域対応を併用する
 壊滅的な被害を回避する。

 河川整備事業を計画されたときには
 整備事業を審議する検討委員会については
 河川管理者が委員を選ぶことに対して
 関係者市民が選ばれるように
 運動を強めていくことが重要です
 と語りました。

 シンボジウムに参加してみて
 わが町のこれまでの経緯は
 町内を流れる各河川整備事業において
 行政が主導的立場で積極的に多くの住民を
 参加させるのではなく
 関係する一部住民を参加させ
 河川整備事業等を実施してきています。

 私自身
 公的立場の責任を負う者の一人として
 河川整備事業に係わる
 環境と生態系へ及ぼす影響の
 重大性についての理解と認識が
 希薄だった責任の重さを
 痛感させられました。

 天の川・石崎川など
 町内を流れる河川の実態を再確認しながら
 河川環境の保全活動をすすめたいと思います。
 


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Posted by おだっちの菜の花油 at 22:22Comments(0)議員活動