さぽろぐ

日記・一般  |その他北海道

ログインヘルプ


2008年07月06日

いのち輝くやんばるの森

  6月28日札幌市・共済ホール
  国際シンボジュウム
 「救おう森のいのち・考えよう森の未来」
 

 
 森からの報告
 「いのち輝く  やんばるの森」
 平良克之氏(写真家:沖縄、(やんばるの自然を歩む会)

 

やんばるとは「山原」と書く。山々が連なり人間を寄せ付けない、厳しい地形からそう呼ばれている。台地状の山々は無数の沢筋から成り立ち、やんばるはそのまま海に落ち込む。大陸のにおいのする神秘的な多様性を秘めているのがやんばるの森である。
やんばるの森に生きる動植物の種の多さは正に驚異的でさえある。地球上から消えてしまう貴重な動植物の種が数多く含まれており、日本列島全域に棲む生き物たちの内なんと10数%もの種が沖縄、やんばるの生態系の中に生きている。

固有種をはぐくむ亜熱帯照葉樹林
亜熱帯に位置する沖縄は、大小70余の島々から成り、湿潤多雨で珊瑚に囲まれ、台風と黒潮に洗われ、多の地域にはない特異な自然条件を持っている。沖縄本島北部山地、やんばるは、イタジイを主とする亜熱帯照葉樹林に被われている。
やんばるの特異性は、島嶼の限られた地域に実に数多くの固有種が分布・生息していることである。やんばるだけに棲息動植物は、わかっているだけでも192種に及ぶが、これらの生物をはぐくんできたのが、イタジイを主とする亜熱帯照葉樹林の天然林である。

 

開発の危機に瀕するやんばるの森
森林破壊の元凶・大国林道・奧与那林道
やんばるの背梁山地の腹わたをえぐるように縦断する全長35.5kmの広域機関林道・大国林道(大宜味村と国頭村にまたがって走るアスファルト舗装の県営林道)は、1997年から17年の歳月と45奧9千万円の巨額の建設費を投じて、やんばる山地の最深部を切り開き、亜熱帯の地形を著しく変貌させ、おびただしい赤土を流出させながら開設工事が行われた。
奧与那林道(14.6km・20億円)の開設など、やんばるの山中を縦横無尽に走る網の目のような林道は、そのほとんどが本土復帰(1972年)後に開設されたもので、沖縄の林道密度は、すでに全国平均を上回っている。
また、造林事業によって、貴重な生き物たちが森を負われ、今、さらに消滅の危機に瀕している。その中には無数の固有種が含まれている。

喰いつぶされる自然林
沖縄の林業は、「沖縄振興開発特別措置法」に基づく、国の高率補助金によって成り立っており、「木を切ると補助金が降りる」仕組みになっている。(造林・国庫90%、県費10%)
日本で唯一残されてきた照葉樹林と、数多くの固有の生物を育んでいる森林は、現在も伐採されている。
尾根筋から沢筋に賭けて一木一草も残さない皆伐、下草刈り等の造林事業のために保水力を失った山は、随所で山崩れを起こし、清流は汚濁、枯渇し、雨が降るたびに赤土や砂が流れ込んで、「河川生態系」は壊滅的な破壊を被り、コバルト・ブルーの海を赤く染め、珊瑚礁を死滅させている。

しかも皆伐された自然林は、その大半がチップ材にされている。太古の昔から生きながらえて続けてきた生態系としては、最も価値の高い天然の照葉樹林を、林業生産の中でも、最も価値の低い用途に使っている。
皆伐されて丸裸になった急斜面の山肌を激しいスコールが叩くので、亜熱帯特有の薄い表土はあっという間に流亡し、栄養と水分が不足するのに加え、強い潮が是と直射日光をまともに受けるために、どこもかしこも造林しても、木は全く育たない劣悪な環境と化している。

島はいま、進化と絶滅の実験場と化している
やんばるは、正に熱帯並みの自然で、貴重な絶滅寸前の希少種が沢山いるところである。これらの希少種は、総て極めて多様性に富んだ自然の中でこそ、これまで生き延びてきたものであり、主の多様性は正に、進化の産物である。
沖縄の島嶼の生物社会は、開発の嵐の中で正に絶滅の実験場と化してしまった。日本のほ乳類・野鳥18種はすでに島で絶滅した。やんばるの森の豊かさが、これらのさまざまな動物を養ってきたのである。ノグチゲラ、ヤンバルクイナに代表される、やんばるの自然は、生きた化石ともいえる動物たちが生存する、いわば進化の実験場とも言うべき、正に地球の謎のカギを握る貴重な地域である。

しかし、島嶼の環境と自然は、非常にもろい。豊かな生物総額蓄え、見事な多様性を見せる反面、その自然は僅かな変化でも、もろくて壊れやすい。島は如何に環境にもろいかを、如実に見せる実験場だ。
私たちは今正に、何をなすべきかそれが問われている。



   お読みになりましたらぜひクリックをお願いします。
    にほんブログ村 地域生活ブログ 北海道情報へブログランキング・にほんブログ村へ
  
Posted by おだっちの菜の花油 at 21:30Comments(0)議員活動

2008年07月06日

里山環境

  6月28日札幌市・共済ホール
  国際シンボジュウム
 「救おう森のいのち・考えよう森の未来」

 

 講  演
      「森林管理履歴からさぐる生物多様性」
          中静 透氏
            (東北大学生命科学研究科教授、ブナ研究の第一人者)

 

 

 

 最近10数年で、日本の森林利用方法は大きく変化した。
 1、原生的な森林が減少したこと。
 2、1種類の林冠木からなる人工林が増加したこと。
 3、広葉樹二次林が減少したこと。
 4、二次林の定期的な伐採や落ち葉はき、人工林の間伐などの森林管理活動が低下したこと。
 それらは、日本の森林の生物多様性に大きな影響を及ぼしている。
 その影響には
 1、原生的な環境が減少したことによる生物多様性の減少(オーバーユース)
 2、二次林の伐採や落ち葉はきの停止などによる攪乱依存種の変化(アンダーユース)という二つの方向がある。

 そのことが生態系サービスの低下という形で、逆に人間にも影響をもたらす。地域の文化や象徴とし て貢献してきた生物が絶滅したり、存続が危ぶまれたりという点のほかに、あまり認識されていないこ とだが、樹木の病気の蔓延、野生鳥獣による農作物被害なども、このような森林と生物多様性の変化 に原因があると考えるべきである。

 

 

 また、里山と呼ばれるような人間が定期的な攪乱を続けてきた環境は、送粉昆虫や農作物の天敵と なる昆虫の生息を確保してきた可能性があり、里山環境の減少による、そうした生態系サービスが失 われつつある。


   お読みになりましたらぜひクリックをお願いします。
    にほんブログ村 地域生活ブログ 北海道情報へブログランキング・にほんブログ村へ

  
Posted by おだっちの菜の花油 at 17:24Comments(0)