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2008年07月20日

町内廃校の軌跡

昭和62年3月、若葉小中学校閉校式典に私は議員として出席していました。廃校後20年の年月が過ぎ、社会経済情勢の変化や地方自治体経営の厳しさから、廃校後の学校解体等が行えず、朽ち果てた姿を今日まで曝している状況にあることは、中外地区を故郷とし同校を卒業した皆様には、心苦しい思いをしています。

檜山にみる、ともしび消えた学校の、栄光のあしあと(檜山校長会 昭和62年3月発行)として、休廃統合学校の軌跡が発行され、わが町内で廃校になった小中学校の遍歴が書かれていましたので、その一部を転載させていただきました。(写真は7月20日現在の廃校校舎・体育館)

   廃校後20年の歳月が過ぎた若葉小中学校と体育館の全景
 
校舎玄関入り口のサクラの木の枝に誰がおいたのかデスマスク彫刻が置かれていました
 

 

           体  育  館
 

   休廃統合学校の軌跡
檜山にみる、ともしび消えた学校の、栄光のあしあと(檜山校長会 昭和62年3月発行)
平成14年12月檜山校長会許可(会長 赤泊慎児氏)掲載申請檜山教育データーベース研究会


  上ノ国町立若葉小学校・中学校(所在地 桧山郡上ノ国町字早川)

1 沿 革 の 概 要

昭18.12.15 上ノ国村早川国民学校早川分教所開校。22年4月上ノ国早川小学校早川分校と名称変更。
昭25.09.01 上ノ国村立若葉小学校・同中学校となる。(小4.中2学級編成)
昭28.04    若葉小・中学校 校章制定される。(男子帽章.女子胸章)
昭33.06.10 若葉小学校子ども銀行表彰される。
昭37.04.01 若葉小学校8学級、同中学校 5学級編成となる。
昭39.04.01 今井鉱山89名転校する。
昭40.04.01 庭内体育館落成する。
昭44.     八雲鉱山閉山に伴い11名転入生あり。
昭46.     校舎北側に北海道池完成(卒業生記念制作)
昭47.     校舎内水道施設完成する。
昭49.12.  特別活動公開研究会実施。
昭53.05.  簡易温室造成。
昭54.03   全道へき地複式教育研究会々場校を指定される。
昭55.05.13 全道へき地複式教育研究会事前研究会実施。
昭56.08.  女子バスケットポール部、管内代表として、全道大会(苫小牧会場)に出場する。
昭56.09.24 全道へき地複式教育研究大会開催・第6分科会々場。
昭56.11.01 若葉校創立30同年記念式典・祝賀会実施。
昭57.03.  女子バスケットポール部、上ノ国町スポーツ表彰を受ける。
昭57.04.01 小学校3学級完全複式となる。中学校3学級編成。
昭57.11.  体育館照明装置新設。
昭58.07.19 野球部桧山中南部代表として桧山大会に出場する。
昭59.03.03 近隣町バスケットボール中学校大会に於て、女子バスケットポール部優勝する。
昭60.09.18 中学校球技大会に於て、女子バスケットポール部優勝する。
昭60.11.03 道南中体連バスケットボール 新人戦に於て、女子バスケットポール部 優勝する。
昭61.01.17 音楽室に暗幕取り付け完了。
昭61.03.19 女子バスケットポール部、上ノ国町スポーツ表彰を受ける。
昭61.05.  中外鉱業上国鉱業所の予期せぬ閉山に伴い、転職・離村等余儀なく、児童・生徒の転校相次ぐ様相を呈する。
昭61.07.  桧山南部中体連大会に於て、女子バスケットポール部、優勝する。
昭61.08.  女子バスケットボール部、管内代表として、全道大会(札幌会場)に出場する。
昭62.03.23 児童・生徒減少により閉校止むなきに至り閉校式典を挙行。
昭62.03.31 37年の歴史に終止符を打った。(小学校・中学校校歴 37年)
 
2 歴代学校長 昭和

初 代  福 田 福 男 21・4・24~31・3・31
二 代  荒良木 寛 資 31・4・1~33・3・31
三 代  新 村  耕   33・4・1~38・3・31
四 代  石 山 清 己 38・4・1~42・3・31
五 代  任 谷 光 男 42・4・1~43・3・31
六 代  中 山 不二夫 43・4・1~46・3・31
七 代  栄 田 誠 二 46・4・1~52・3・31
八 代  湯 浅 和 登 52・4・1~57・3・31
九 代  葛 西 昭 一 57・4・1~62・3・31

3 学級数・教員数・児童、生徒教の推移

4 特記すべき学校の顔

 国鉄上ノ国駅より日本海沿いに南下し、ほば2馳の地点に石崎漁港がある。その地から石崎川に沿って山間に入ることおよそ6kmの地に、マンガン鉱採掘を主とする中外鉱業上国鉱業所がある。この鉱業所の存在によって形成された集落が、この早川地区であり、この地に根を張る若葉小中学校の特色は、鉱業所の盛衰と運命を共にするところにある。

 児童・生徒数の増減は、まさに会社栄枯の軌跡にほかならない。在学児童・生徒の親は、95%まで、上国鉱業所及びその関連企業に従事し、生活様式や文化的水準・話題等についても較差が少ない。土地は狭隘で、平担地に乏しく、耕地などほとんど見られず、野菜を含め、日常生活必需品を商店購入することは、農・漁村と趣を異にし、地域住民思考を都市型にする。また、退職後は別の利便地へ移転して、住居を構えるケースがほとんどで、老後永住する人がいないため、郷土意識は、他の町村と比べ育ち難い傾向にある。 

 これらのことは、若葉小中学校を大きく特色づけ、合同運動会を初め、学校の諸活動と会社との絆は、特に深いものがある。
 また、児童・生徒の学習観、地域住民の学校へ寄せる要望と期待は、学校教育活動の質を向上させ、学力・運動、更に日常生活面に於ても、優れた子弟が多い。
 特に、女子バスケットボール都の戦績は、近隣を初め、多くの大会で優勝し、檜山管内代表として、二度も全道大会出場の栄誉に沿した。

 PTAを中心とした地域住民の学校への協力体制は、際立つものがある。更に、家庭教育学級での学び合い、学校開放事業への意欲的な参加等、学校教育推進に大きく貢献した。

5 廃校・統合の経過

 当地は、古くからマンガン鉱を主とする鉱山地区で、複数の鉱業所により良質の鉱石を産出していた。鉱山に従事する子弟の教育は、早川小学校分校が、その任を担っていた。
 戦後、マンガンの需要も減少し、事業縮小状況を呈したが、朝鮮動乱を機に鉄鋼業界の復興とともに再び活況を取りもどし躍進した。

 鉱山は、中外鉱業上国鉱業所に統合され、昭和25年、地域住民の増加と相侯って、若葉小学校・中学校として独立した。爾来37有余年、上国鉱業所の盛衰と共に歴史を刻み今日に至った。 昭和61年5月ここ平穏な地に突如、思いもよらぬ悲観が舞い込んだ。上国鉱業閉山の知らせである。国際為替市場での円高.非鉄・貴金属市況の低迷による業績悪化によるものである。会社及びその関連企業従業員は、転職・離村と、運命の激変に遭遇し、児童・生徒の減少は、時間の問題となった。

 会社盛況時は、494名の児童・生徒を誇った若葉校も、昭和62年2月、全校児童・生徒数8名と痩せ細り、昭和62年3月31日をもって学校を閉鎖するに至り、創立以来幾多の業績を刻み続けた若葉小学校・若葉中学校の輝かしい歴史に終止符を打った。

6 想い出 中 外
   若葉中1年  布 谷 英 史(閉校時)


 ほくの住んでいる上ノ国町字早川は、中外と呼ばれています。ここは、山々に囲まれて、 一年中良い景色が見られます。春は、木や草の黄緑色の芽がとてもきれいです。冬の間、雪景色だけ見て過ごした者にとっては、なおきれいに見えます。
 夏は、山々の濃い緑、冬は、白一色の銀世界と、あきることはありません。中外は、こじんまりと整っていて、車もあまり通らない、静かなところです。中外の人は、たいてい萌みしりです。だから、親しみを持って挨拶をかわします。ぼくは、とてもすきです。

 ぼくの通っている学校は、4月に、児童・生徒合わせて、34人いましたが、今は、14人しかいません。ぼくのクラスは、ぼく1人だけになりました。都会の学校では、考えられないことです。
 ぼくたちの学校では、小学校1年生から、中学校3年まで、みんなでやる全校集会や、炊事遠足など、都会の学校では味わえない、楽しいことが、いっぱいあります。それだけに、この学校から転校して行かなければならないことは、とてもつらいことです。

 中外という地名は、どこからきたのでしょうか。それは、中外鉱山の名前からきたのです。この鉱山は、マンガンの鉱山では日本一です。そのためでしょうか、いつからとなくこの地は、早川という地名なのに、中外・中外と呼ばれてきたのです。ぼくは、この名がとても好きです。
 それなのに、ぼくたちは、この鉱山とお別れする時が来てしまったのです。それは、この中外鉱山が、急激な円高によって閉山という、ものすごく大変なことが、おこってしまったからです。

 そのため、中外では、もう働く所がなくなってしまったのです。中外の人は、仕事がみっかると、この地を去って行きます。もう、中外から去って行った人も、たくさんいます。ぼくは、この地を出たくありません。いろいろな思い出があるからです。
 小さい頃、広場や川で遊んだこと、幼稚園でのこと、小学生の頃のことなど、色々な思い出のある中外を出たくありません。みんなも同じだと思います。でも、運命なら仕方がありません。だから、別の所へ行っても、勉強やスポーツを一生懸命やって、早くそこの生活に慣れたいと思います。そのためには、努力が一層必要になると思っています。


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Posted by おだっちの菜の花油 at 19:46Comments(0)