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2009年09月30日

治山ダムを撤去し自然の姿回復へ


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   治山ダムを撤去し、自然の姿回復へ
    =群馬・茂倉沢で全国初の試み

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 群馬県・八ッ場(やんば)ダム建設中止の是非をめぐり、ダム自体の必要性が国民的議論になる中、同じ県内で防災と渓流環境の復元の両立を図るため、利根川水系赤谷川の支流、茂倉沢(群馬・みなかみ町)にある治山ダムの一つ、通称「2号ダム」でこの10月、基礎部分を含めた中央部が撤去される予定だ。全国初の治山ダム撤去の試みとなり、ダム事業の将来を占う試金石となりそうだ。

 群馬県の谷川連峰山麓を流れる利根川の上流域で、森林や生態系本来の姿を回復させる試みが行われている。

 「赤谷プロジェクト」と名付けられたこの試みは、生物多様性の復元と持続的な地域づくりを目指し、林野庁関東森林管理局と日本自然保護協会、地元住民の「赤谷プロジェクト地域協議会」の3者が協働して2004年に開始した。渓流環境の復元はプロジェクトの主要課題の一つ。この取り組みの一環として、治山ダムが部分撤去される。

 治山ダム中央部を撤去することで、治山ダムで途切れていた渓流の上流と下流をつなぎ合わせ、イワナやヤマメなどの渓流魚の往来を自由にさせるなど、渓流環境の本来の姿を復元させるのが狙いだ。

 東京から関越道を使って車で約2時間。上州から越後に抜ける三国街道(国道17号線)沿いに、ブナやミズナラ、トチノキの自然林にイヌワシやクマタカが生息する約1万ヘクタールの国有林「赤谷の森」が広がる。この森の中には、法師温泉や猿ヶ京温泉、川古温泉といった古くからの湯治場があり、都心からほど近い憩いの場となっている。

 戦前戦後の森林伐採やキャサリン台風による被害で土砂の流失が起こるなど、茂倉沢流域の森が荒廃していった。このため、昭和20年代から30年代にかけて、本流と支流合わせて17基の治山ダムが建設されたが、約60年たった治山ダムは老朽化してしまっている。

 02年の大雨では、中央部撤去予定の治山ダムの下部が底抜けし、土砂が下流部に流出した。このため下流域にある発電施設周辺に土砂が堆積(たいせき)したが、人家などへの影響はなかったという。現在、この治山ダムに堆積する土砂はほとんどない。

 計画では、幅28メートルあるダムの中央部分にあたる幅8.6メートル、高さ9メートル分を基礎部分を含めてを取り除く。このため、強度不足となってしまう堰堤の補強工事や、下流部に土砂制御のための保全工の設置が現在行われている。総工費は約 6600万円。

 関東森林管理局の田中直哉・赤谷森林環境保全ふれあいセンター所長は「渓流環境の復元という観点から、07年に赤谷プロジェクトで話し合って治山ダム中央部撤去を決めた。撤去後の土砂の流出状況や生態系の復元状況などいろいろなデータを集め、撤去の影響などを調べ、防災と渓流環境の復元を両立できる今後の治山事業のモデルケースとしたいと考えている」と話している。【了】
(2009年09月30日07時00分 / 提供:PJ )


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Posted by おだっちの菜の花油 at 19:51Comments(0)