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2013年09月12日

上ノ国町産業活性化に係る上ノ国町議会の提言書を町長に提出



   9月定例議会第1日目に三浦産業活性化調査特別委員長が
   1年半に亘って同特別委員会で協議をし決定した提言報告を行いました。




   同日の本会議終了後、議長及び委員長、副委員長が
   議会を代表して町長に提出しました。


   上ノ国町産業活性化に係る上ノ国町議会の提言書


 本委員会は、平成24年第2回定例会において設置され、能率的運営を図るため、二つの小委員会を設けるなど、産業の活性化に関する調査活動を行ってきました。
 本委員会では、過去3年間の農業、水産、商工等に関する事業内容の現状等を踏まえた上で、今後の方向性を整理し、事業の重要度、緊急性を勘案して協議を進めてきました。

 この間、関係機関や関係者との懇談を含め、農業に関する小委員会は5回、水産、商工等に関する小委員会は7回、委員会は3回と、今日まで計15回にわたって精力的に委員会を開催してまいりました。

 まず、農業については、近年、農産物の生産量は安定しているものの、農業者の大部分が農産物の販売額だけで経営が成り立っていない実態にあり、国の戸別所得補償制度に頼っている状況にある。また、農業後継者数は管内でも多いものの、農業後継者不足の問題から、高齢化などにより離農した農地の荒廃化が懸念されている。

 これに対し、現状の農業経営体の実態を把握し、目指す農業経営を推進すべきことのほか、農業者の要望を吸い上げ、拾い上げる対応や、異業種などとの連携による作業受委託対策が必要と考える。

 このほか、農業振興を促進するため、各地域の農業後継者の活動を組織化し、農業後継者間の情報交換の場を作り交流を深め、生産性及び品質の向上や地産地消、新規特産物等の創設と販路整備などを推進する組織づくりも必要である。

 また、関係機関・団体と連携し、農業振興の妨げになる諸問題に対して、組織的に問題解決を図れるような体制づくりを進めることが重要である。
これらの方策により農業者の生産意識向上を醸成し、農業生産量及び販売額の底上げが期待できるものと考える。

 次に、漁業については、近年、回遊魚の資源減少により沿岸漁業経営は厳しい状況にあり、また、漁業後継者不足も顕著で、漁業集落の存続が危ぶまれている実態にある。

 これに対し、漁業資源の増大や漁業所得の向上を推進するために、今年度から実施する大胆な種苗放流については、過去に種苗放流した放流効果が確認されているところであり、さらに効果あるものとするために、藻場の造成を推進すべきことのほか、漁業者への各種助成制度の継続的な支援が必要と考える。

 なお、種苗等放流海区域内の漁場を、漁業者が責任を持って管理する組織体制を確立させることが必要と考える。

 このほか、漁業振興を促進するため、各地域の後継者も含めた漁業者間の情報交換の場を作り交流を深める組織づくりの必要性や、漁業者の共同経営化も検討すべきと考える。

 また、漁業後継者への潜水士の資格取得の支援や技術向上での情報提供などを継続して推進し、前浜資源の所得向上により漁業経営の安定を図ることが重要である。

 さらに、漁業後継者などの新たな生産組織が静穏域の原歌地区海洋牧場で養殖事業に取り組みたいとの要望があった場合の対応や、所得確保のために、放流した種苗については捕獲サイズの検討なども求められている。
 これらの方策により漁業者の意識向上を醸成し、漁獲量の底上げが期待できるものと考える。

 次に、商工業については、本町の周辺地域への大型店舗の進出などにより、町内小売業の消費者は町外に流出している状況にあり、商工業振興の基幹となる小売業者の閉店が進行したほか、各小売業者の売り上げは下降の一途をたどっている。

 今後も経済情勢の急激な好転が期待できない状況にあり、これに対応するには、少しでも町内に消費者をとどめ、消費者へ還元する買い物の楽しみのほか、売り上げが伸び悩んでいる商工業者のために、ポイントカードの創設やプレミアム付き商品券の発行も必要と考える。

 次に、観光については、本町の歴史的遺産や自然、農漁業などの地域資源を生かしたイベントを通じて、町外からの観光入り込み客数を増やすことが必要であり、そのためには、観光協会との連携が重要で、ただ見せることや聞かせることだけでなく、畑で野菜をとらせる、海から捕った魚をその場で刺身や鍋で食べさせる、遺跡の発掘をさせるなどの体験をして楽しんでもらい、そして泊まっていただくなど、既存のイベントを転換させる体験観光などを推進することも必要と考える。

 町内のいたるところに埋没している地域観光資源を発掘し、農漁業等を組み合わせることで、より広範で多様な観光事業網が形成され、町外からの観光入り込み客数の増加につながるものと思われることから、まちづくりの重要な位置付けとなる観光事業を振興する観光団体の育成については、新たな組織に育成させることが望ましいと考える。

 次に、日本海情報交流館については、サービスの向上による利用者の利便性の向上や施設を所有する地方公共団体の負担の軽減などのために、平成18年から指定管理者として、第三セクターの株式会社上ノ国町観光振興公社に管理運営を行わせており、平成25年度の指定管理料は1,700万円となっている。

 同公社は、同交流館のレストラン運営から20年以上が経過し、平成24年度末の株式累積損失額は5,100万円となっており、更なる経営改善と、第三セクター方式ではなく民間企業の経営感覚の導入も求められている。

 次に、国民温泉保養センターは、年々入浴者数は減少している状況にあるが、隠れた名湯・秘湯として多くの常連客に親しまれており、同センターがある湯ノ岱地区は、春から夏はタケノコなどの山菜取りや魚釣り、秋には紅葉が見られ、冬はスキーと、四季を通して楽しめることができることから、湯ノ岱小学校の閉校と併せた同地区の活性化を図ることが求めれている。

施策の提言

提言1 
 農業後継者を定着させるために、農業者の所得目標を設定し、町内で安定した農業経営を行っている農業経営体の経営規模と同様の農業経営を目標とした、技術・経営指導のきめ細かな対応と、収入安定や労働力確保に対する大胆な支援をすることのほか、農業後継者の組織化と活動助成制度を創設すること

提言2
 農業者の高齢化などの減少に伴い、一戸当たりの経営面積が増加することが予想されることから、農業者の労働力支援対策として、異業種などと連携した農作業受委託制度の導入を検討すること

提言3
 農業指導センターについては、6月定例会の一般質問の答弁で、同センターの役割を終えたいとしているが、農業後継者の育成・確保のための活用方策を検討することのほか、町牧野(勝山・桂岡地区700ヘクタール)については、放牧及び草地管理業務を法人に委託しているが、家畜飼養頭数の大幅な減少や一部原野化の状況となっていることから、貴重な財産である町牧野の有効活用を検討すること

提言4 
 漁業後継者を定着させるために、青年グループ以外も含めた補助要件等の緩和や補助率の上乗せ措置などの支援をすることのほか、潜水士の資格取得助成や、漁業後継者の組織化と活動助成制度を創設すること

提言5 
 今年度から実施される町単独事業の種苗放流については、多額な町民の税金が使用されることから、密漁防止に万全を期するとともに、毎年度、放流効果を調査し広く町民に公表することを検討し、放流効果の確認や資源の増大が期待できない場合は、同事業の中止や関連する栽培漁業総合センターの廃止等を検討すること

 また、種苗等放流海区域内の漁場を、漁業者が責任を持って管理する組織体制を確立しなければ、同事業の継続を見直すことも検討すること
 さらに、補助事業の全額助成制度は、町民の責任感を醸成しないばかりか、自立しない行政まかせの体質を生むことにつながるものと思われることから、見直しを検討すること

提言6 
 原歌地区海洋牧場は、施設管理者である北海道がひやま漁業協同組合に管理を委託し、漁業団体が養殖漁業を営んでいるが、漁業後継者の経営安定を図るためには、漁業後継者に対する新たな区画漁業権の設定を検討することが求められていることから、ひやま漁業協同組合との総合調整について考慮すること

提言7 
 ポイントカードの創設やプレミアム付き商品券の発行を、商工団体が主体的に取り組む中で支援策を検討すること。なお、支援策以上の経済効果を発揮させることが必要

提言8 
 観光入り込み客数を増やすために、観光客に体験してもらう体験観光などの推進の検討のほか、観光団体の育成を図るために新たな組織に育成させることを検討すること
提言9 
 株式会社上ノ国町観光振興公社が運営する日本海情報交流館は、大変厳しい経済情勢の中で、今後とも同交流館のレストランの運営は依然として厳しい状況であると言わざるを得ないことから、これ以上の株式累積損失額を出さないために、更なる経営改善と、第三セクター方式ではなく民間企業の経営感覚の導入など、抜本的改革を検討すること

提言10 
 湯ノ岱地区の活性化を図るために、名湯・秘湯のイメージを壊さないよう、国民温泉保養センターの改築と、民間委託などの抜本的改革を検討すること

 以上が本特別委員会に付託された事件に対する調査結果と提言である。この報告書は本委員会に与えられた権限を十分に活用し、1年あまりにわたり、精力的に調査を行った各委員の強い思いを持って作成されたものであることを申し添えるとともに、町長は、この報告の提言を真摯に受け止め、早期に検討されることを要請し、報告とする。




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Posted by おだっちの菜の花油 at 21:04Comments(0)議員活動