さぽろぐ

日記・一般  |その他北海道

ログインヘルプ


2009年04月29日

消えぬ不満 議員報酬日当制

矢祭町議会 消えぬ不満 議員報酬日当制1年(/09.04.23産経)

 福島県矢祭町議会(定数10)が昨年、全国で初めて「議員報酬日当制」を導入し、4月で1年を迎えた。町執行部は「議員報酬の削減分を育児対策などに回すことができた。制度導入は成功だった」というが、一部の議員には異論も根強く残っている。「成功か失敗かは今後、議会が正常に機能してゆくかどうかで判断しなければならない」と慎重な見方を示す専門家もいる。導入から1年を機に、改めて議員報酬日当制の是非を検証する。(小野田雄一)

 同町自立総務課によると、制度導入前の平成19年度の議員報酬総額は3473万円。導入後の20年度は1206万円で、2000万円以上の削減に成功した。

 10人いる町議の平均年額報酬約 120万円は、全国町村議会議長会の調査(平成20年7月)に照らすと、全国で最低となった。

 同課は「議員報酬の削減分は、子育て支援などに使う。すでに今年度から、これまでは就学前の児童に限っていた医療費無料化を、中学生まで拡大できた。また学校での給食費や妊婦検診の無料化などにも使っている」とし、「うちのような小さい町には、2000万円以上の削減は助かる」と話す。

 日当制導入案を議会に提出した菊池清文議員(63)も、「以前から町民の間には『休会中の議員活動の実態が見えない』と批判があった。だが日当制導入により、“報酬は議員活動に対する対価”ということが明確になり、町民の多くは歓迎している」という。

 また「報酬減により、立候補者が減るのでは」という懸念に対しては、「確かに出馬には、選挙カーやポスター代などで最低数十万円はかかる。だが最終的には、『報酬が少なくても政治にかかわりたい』という志があるかどうか。そういう人は必ずいる」とし、今後の選挙でも候補者が大幅に減ることはないという見方を示した。

 一方で、反対意見も根強く残っている。

 同制度反対派の圷(あくつ)豊明議員(75)は「この報酬では、40~50代の働き盛りの人や勤め人には出馬できないだろう。多様な意見を持つ人が政治に参加するという議会制民主主義に逆行する制度だ」と非難する。

 昨年3月の町議選で、日当制導入反対を掲げ、新人ながらトップ当選した鈴木正美議員(51)も「矢祭町議会には政務調査費はない。だから志が高く、勉強する意欲が強い人ほど負担が重くなってしまっているのが実態。現に数多くの議会が日当制を視察にきたが、導入したところはない。これは日当制が日本の報酬制度に合ってないということの証明だ」とし、時機をみて制度の再検討を進めていくという。

 第三者はこの制度をどうみているのか。

 矢祭町の選挙に詳しいある関係者は「日当制導入には表の顔のほかに、裏の顔があった」と指摘する。 
 「矢祭町では、1回の選挙で1人の候補者につき1000万円近い金が動くとされる。それくらい町に金を落とさないと当選できなかった。町議選は、よく言えば4年に1度の“町活性化策”だった」と明かし、「日当制導入で、今後はこうした金にまつわる悪弊が浄化されていくのでは」と話す。

 また、地方自治に詳しい専修大法学部の小林弘和教授は「もっとも大切なのは、町議会が住民の望む議会になっていくかどうか。日当制導入により議会が不活発になったり、志を持った人が出馬しにくくなったり、報酬が少ないことを理由に何もしない議員が増えてしまったりしては本末転倒だ」と指摘する。

 その上で「議員報酬を減らしたならば、矢祭町は同時に政務調査費を創設することも考えるべきだ。また、報酬が少なくても活発な議会を作るために、現行制度ではまだ不可能だが、将来的に議員を、報酬と役割に差をつけた常勤議員と非常勤議員などに分け、女性や若い人も参加しやすい議会にしていくべきだ」と提案している。

 実際のところ、制度導入に伴い、町の行政サービスが向上したり、選挙に金がかからなくなるといったメリットと、出馬の困難化や議会の不活発化のおそれなどのデメリット、どちらが上回るかは未知数だ。制度導入に関する最終的な評価は、次の町議選の結果を待つ必要があるだろう。

               ◇
 ■矢祭町 福島県の南端、茨城県北部との県境に位置する。人口約6800人。根本良一前町長時代の平成13年、「平成の大合併」を推し進める国に、全国に先駆け「合併しない宣言」を行い話題に。「早朝・夜間窓口の設置」「住民基本台帳ネットワーク不参加」など数々の独自施策を行い「改革の町」として知られる。19年に就任した古張允町長も、根本前町長の方針を受け継いでいる。

 ■議員報酬日当制 本会議や町の公式行事に参加した場合に、1日3万円の町議報酬が支払われる。平成19年12月の町議会で議員提案され、賛成7、反対2で可決。20年3月31日から施行された。



 お読みになりましたらぜひクリックをお願いします。
    にほんブログ村 地域生活ブログ 北海道情報へ


あなたにおススメの記事

Posted by おだっちの菜の花油 at 19:43│Comments(0)
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。
削除
消えぬ不満 議員報酬日当制
    コメント(0)