2012年10月31日
大飯原発 活断層なら停止要請 2日に調査 法的根拠は曖昧
大飯原発 活断層なら停止要請 2日に調査 法的根拠は曖昧
原子力規制委員会は11月2日、国内で唯一稼働している関西電力大飯原発(福井県おおい町)に調査団を派遣し、敷地内にある断層が活断層かどうか調べる。
今回の調査団には原発内の断層の危険性を強く訴える学者も参加。規制委は4日の会合で調査結果を評価し、活断層である可能性が高ければ、運転停止を求める方針で、国内の稼働原発は再びゼロとなる可能性がある。
一方で、規制委が停止命令を出す際の法的根拠は曖昧なままで、どう判断するかに注目が集まる。
調査団のメンバーは、規制委の島崎邦彦委員長代理(地震学)を中心に5人の専門家で構成される。その中で目を引くのが、国の審査の甘さを指摘し続けてきた渡辺満久・東洋大教授(変動地形学)だ。
大飯原発では、F-6断層と呼ばれる破砕帯が、2号機と3号機の間にあり、非常時に冷却用の海水を取り込むための重要施設「非常用取水路」の直下を通る。
渡辺氏は自身の論文などで活断層ではないとする関電の主張をことごとく否定。「活断層の可能性を否定できない」と再調査を求めてきた。
規制委が渡辺氏を調査団に加えたのは、危険性を指摘する専門家も入れることで調査の客観性を高める狙いからだ。10月23日に行われた調査の事前会合では、渡辺氏が「少なくとも活断層かどうか白黒つけるべきだ」と発言するなど存在感を示している。
これに対し、規制委の田中俊一委員長は、活断層の判断について、明確な根拠のある「黒」だけでなく、明確ではない「濃いグレー」でも原発の運転停止を求めることを明言。エネルギー政策や経済的問題などを考慮せず、安全かどうかだけで判断し必要ならば運転停止を求める構えだ。
規制委は来年7月までに策定する新安全基準で運転停止命令を出せるようにする。だが、現時点では規制委が強制力を持って運転停止を命令できる明確な法的根拠はない。
この点について、規制委事務局である原子力規制庁の森本英香次長は権限の曖昧さを認めた上で、「これからの議論だ」と述べ、原子炉等規制法の準用や行政指導による要請を視野に入れている。
炉規法では「急迫した危険がある場合」に必要な措置を命ずることができる規定はあるが、地震はいつ起きるか分からず、活断層があるだけでは急迫性を判断するのは困難とみられる。
規制委は大飯原発の調査後、北陸電力志賀原発(石川県)、日本原子力発電敦賀原発(福井県)など5施設の断層調査を予定。活断層があると判定された場合、いかなる根拠で停止命令を下せるかも大きなポイントだ。(原子力取材班)
産経新聞 10月31日(水)7時55分配信
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Posted by おだっちの菜の花油 at 08:38│Comments(0)
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