2022年02月18日
女子フィギュア「銅」坂本花織
女子フィギュア「銅」坂本花織
「完成度」ターゲットに難プログラムに挑んだ努力が結実
2022/02/18 14:48
「完成度」ターゲットに難プログラムに挑んだ努力が結実
2022/02/18 14:48
2月17日、北京五輪フィギュアスケート・女子フリーの演技をする坂本花織© AERA dot.
提供 2月17日、北京五輪フィギュアスケート・女子フリーの演技をする坂本花
織提供 2月17日、北京五輪フィギュアスケート・女子フリーの演技をする坂本花
2月17日、北京五輪フィギュアスケートの女子フリープログラム(FP)が首都体育館で行われた。ドーピング問題の霧が晴れぬ中、ショートプログラム(SP)に続く自己ベストの演技で銅メダルを獲得したのが日本の坂本花織だ。
昨年10月、北京の同じ会場で開催されたアジアンオープントロフィー。ロシア女子が一人も参加せず、勝てるはずだったこの大会で、坂本は表彰台の中央を逃した。ショートプログラムで首位に立ちながら、フリーで精彩を欠き125.58点。8.87ポイント差をひっくり返され、優勝を三原舞依に譲った。
坂本が苦労していたのは、振付師のブノワ・リショーが彼女に与えた難解なプログラム。ドキュメンタリー映画のサウンドトラックを中心に、女性の抑圧からの解放や自立、自己の尊厳の再確認を訴える、メッセージ性の強い4分間だ。コロナ禍で対面での振付もままならない中、8月の地方大会では3年前のフリー「ピアノ・レッスン」を再演。この試合ではノーミスの演技で優勝したことから、一時はプログラムを変更することも考えたという。
しかし、逡巡の時間は短かった。リショー氏の強い勧めもあったが、何よりも坂本本人が、この難プログラムと共に五輪シーズンを戦い抜くことを決意したのだ。
苦闘の成果は、北京の氷の上に表れた。アジアントロフィーとの最大の差は、 出来栄え点だ。10月にはトータルで6.97点しか付かなかったGOEだが、今回は16.88ポイントを稼ぎ出している。「完成度」をターゲットにひたすら積んできた鍛錬が、正しく結実した証だ。
一つ一つの要素に対して「良い出来栄え」と評価されれば、当然演技全体の構成点も上がる。特に、スケーティングスキルについては、フリー滑走全25名の中で最高の評価を得た。技術点のみに依存することなく、プログラム全体の完成度をひたすらに追求した結果が、フリーでの自己ベスト3点更新という数字に表れている。
今回、ドーピング問題の渦中にあったカミラ・ワリエワ(ROC)は、SP首位のリードを守り切れなかった。精神的な動揺が抑えきれなかったのか、2度のジャンプ転倒を含むミスを連発。蒼ざめた顔で氷上を降りると、キスアンドクライで点数が出た時にはついに号泣。コーチらに肩を抱えられながら、会場を去った。
ワリエワが表彰台を逃したことにより、3位以上の順位は確定。既に行われた氷上でのマスコットセレモニーとは別に、18日夜にはメダルセレモニーも開催される。
疑惑が晴れぬままの15歳の選手を競技の場に送り出したことについては、非難の声が上がっている。一方で、日ごろから厳しいドーピングチェックを遵守しながら今回の騒動に巻き込まれた他の選手たちも、本来不要なストレスにさらされた。坂本も、SP終了後の記者会見で執拗にコメントを求められ、困惑した表情を見せていた。
異様な雰囲気の中、重圧に打ち勝って自らの演技を表現し尽くした、誇るべき坂本の銅メダル。日本女子の五輪表彰台は、2010年バンクーバー五輪銀の浅田真央さん以来だ。5位入賞の樋口新葉もまた、浅田真央さん以来の「SPとFPでのトリプルアクセル成功」を成し遂げた。どこかすっきりしない幕切れとなった女子フィギュアだが、日本の同級生コンビは、曇りなく輝かしい結果を出した。(菱守葵)
※週刊朝日オンライン限定記事
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Posted by おだっちの菜の花油 at 15:32│Comments(0)
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