[自民党]「政党法制定」浮上…
[自民党]「政党法制定」浮上…相次ぐ離党に
野党転落後、離党する議員が後を絶たない自民党で「政党法」制定論がにわかに浮上してきた。比例代表で当選した議員が新党に移るのを禁じるのが狙いで、与謝野馨元財務相や舛添要一前厚生労働相への当てつけの面が強く、党内の引き締めに苦しむ執行部の焦りの裏返しともいえる。
自民党の党紀委員会は27日、与謝野、舛添両氏の除名処分を決定したが、全会一致にはならなかった。
委員の一人は「党則は離党して新党に移ることを想定していない。ルールを作るべきだ」と指摘。大島理森幹事長は記者会見で、政党法制定も視野に「法改正も含めて議論しなければならない」と述べた。
公職選挙法や国会法には、比例代表で既成政党から当選した議員がその後結成された新党に移ることを防ぐ規定がない。大島氏らは政党法でこうした「抜け穴」をふさぎたい考えだが、憲法が保障する「結社の自由」の壁が立ちはだかる。
自社さ連立政権時代の94年、政党交付金の創設に伴って制定された「政党法人格付与法」は、政党の権利・義務を明文化したい自民党と、政治活動への公権力の介入を嫌う社会党が対立した結果、第2条に「この法律のいかなる規定も、政党の政治活動の自由を制限するものと解釈してはならない」と明記した。
日本大法学部の岩井奉信教授(政治学)は「付け焼き刃でなく、大きな政治改革の枠組みの中で考えるべきだ」と拙速な論議を戒める。【中田卓二、木下訓明】
◇政党法◇
日本では、公職選挙法や政治資金規正法などに政党に関する個別の規定はあるものの、「政党とは何か」を明文で定義した法律はない。憲法は21条で「結社の自由」を保障しているだけだ。
政党法制定の議論は戦後間もないころから何回か行われてきたが、公権力による政治活動への介入につながるとの批判が根強く、今日まで実現していない。海外では政党の憲法上の地位と任務を定めたドイツ政党法が代表的。ミャンマーのように軍事政権が反対政党の活動を規制する例もある。
(2010年04月27日23時11分 / 提供:毎日新聞)
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