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2010年12月04日

ホヤの殻軟化破裂「フニャフニャ病」 



     ホヤの殻軟化
     破裂「フニャフニャ病」 宮城の漁場にまん延
   

 養殖ホヤの生産量が全国一の宮城県で、ホヤの殻が軟化、破裂する「被嚢(ひのう)軟化症」が漁場のほぼ全域に広がっていることが、県水産技術総合センター(石巻市)などの調査で分かった。

 被嚢軟化症によるホヤの大量死が問題になった韓国では生産量がピーク時の10分の1にまで減った。感染拡大が続けば、宮城でも生産量が激減する恐れがある。

 宮城県内の被嚢軟化症は2007年、南三陸町歌津で初めて確認された。県は漁場20カ所で調査を実施。07年に3カ所だった発生海域は08年に6カ所、09年に14カ所に増えた。今年の調査ではさらに1カ所増え、石巻湾と気仙沼沖を除く県内の漁場にまん延していることが確認された。

 一部海域では、1本の養殖ロープで200~300キロあった収穫量が20キロ以下に減ったケースもあった。ホヤは漁協を通さずに業者が直接出荷するため正確な被害量は分かっていないが、県全体で1万4000トン程度あった水揚げ量が1万トン以下に落ち込んだとする試算もある。

 韓国では被嚢軟化症のまん延で、1994年に4万2000トンだった養殖ホヤ生産量が10分の1に激減。現在も生産量は回復していない。

 県水産技術総合センターによると、感染予防策は今のところ見つかっていない。感染海域のホヤを数年にわたり撤去するのが抜本的対策とされるが、その間の収入が減る漁業者の反対が強く、実現のめどは立っていない。

 県漁協経済事業部の武田美隆部長は「将来的に種苗が不足する恐れもあり、各海域の実情に合った対策を取っていきたい」と話している。

  ◎原因はべん毛虫の一種/宮城県が解明
 宮城県の漁場で被害が拡大しているホヤの被嚢軟化症について県水産技術総合センターは、発症原因が原虫のべん毛虫の一種だと突き止めた。原因を解明したのは世界で初めてとみられ、県は「研究成果を基に感染拡大の予防策を確立したい」としている。

 特定したのはネオボド目のべん毛虫。長さ10マイクロメートル(1マイクロメートルは1ミリの1000分の1)で2本のべん毛を持つ。詳しい生態は不明。研究例が少なく、新種のべん毛虫の可能性がある。

 海中でべん毛虫は水と一緒にホヤに吸い込まれ、何らかの方法で殻を軟らかくする。一定数に達すると、殻を破って大量のべん毛虫が飛び出す。センターは「強烈な感染症であることが分かった」と説明する。

 センターは2007年、原因が原虫の可能性があるとみて研究を開始。健康なホヤにべん毛虫を与えたところ、同じ症状を再現できた。

 被嚢軟化症の症状については「夏の高温障害」との指摘や、別の種類の原虫が発症に絡んでいるとの説もあり、詳しい原因は分かっていなかった。

[被嚢軟化症]ホヤの殻(被嚢)が破れる病気。浜では「フニャフニャ病」と呼ばれる。1995年に初めて韓国で確認された。宮城県内では2007年、南三陸町沖の養殖場で同じ症状のホヤが見つかった。この養殖場では04年に輸入した韓国産ホヤ種苗を使用していた。

(2010年12月4日(土)09:00 河北新報社)





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Posted by おだっちの菜の花油 at 16:48│Comments(0)
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