2011年02月18日
<菅首相>与野党で退陣論
<菅首相>与野党で退陣論 予算と引き換え
菅直人首相の辞任と引き換えに、11年度予算案の関連法案成立に野党の協力を求める「話し合い退陣」論が、与野党間で公然と語られ始めた。衆院の3分の2以上による再可決の道がほぼ閉ざされ、予算関連法案の成立が絶望視される窮地に菅政権が追い込まれたためだ。
首相周辺は「首相は総辞職するくらいなら解散する」と、衆院解散・総選挙を警戒する民主党内を強くけん制。「首相のクビ」を材料に与野党が駆け引きを展開する緊迫した政局に突入した。
「クビを代えたら賛成するとかしないとか、そういう古い政治に戻る気はさらさらない」。首相は18日夜、首相官邸で記者団にこう語り、話し合い退陣の可能性を全面否定。
事態打開のため解散に踏み切る選択肢については「国民にとって何が一番重要かを考えて行動する」と否定せず、「解散カード」で退陣論に対抗する戦闘姿勢をみせた。
首相を刺激したのが、朝日新聞(18日夕刊)の「首相を支持してきた民主党の有力幹部」が公明党幹部に「首相のクビを代えてもいい」と打診したとの報道。
民主党の小沢一郎元代表に近い16議員が17日に同党の衆院会派からの離脱を宣言し、社民党の協力を得ての衆院再可決は困難になった。
首相を支持している前原誠司外相のグループからも、「前原首相」を前提に話し合い退陣を求める声が上がっている現状が背景にあった。
前原氏の後見役、仙谷由人代表代行が15日に公明党の漆原良夫国対委員長と会談していたこともあり、「有力幹部は仙谷氏」との観測が一気に広がった。仙谷氏は18日のBS朝日の番組で首相退陣の可能性を聞かれ「今の状況下ではない」と微妙な言い回しで否定。
民主党内では、予算関連法案の衆院審議で野党の反対が明確になる3月上旬以降、退陣論が噴出するとの見方が出ており、前原グループの一人は「仙谷さんは、菅首相のクビに鈴を付けに行けるのは自分しかいないと考えている」とみる。
ただ、野党が首相退陣との取引に応じる保証はない。民主党幹部の一人は「まだそんな段階じゃない。ギリギリのところまで来ないと交渉は成功しない」と語り、話し合い退陣論が表に出るのが早過ぎたと懸念する。
自民党の大島理森副総裁は18日、記者団に「(公明党への打診が)事実だとすれば、菅首相の統治能力がほとんどないに等しい。私どもは解散を求めているが、民主党が政権のトップを代えた場合は新しい大きな事態として話し合いをする余地はある」と話し合い自体は否定しなかった。
ただ、自民党幹部が「菅のクビで収まる話じゃない。解散が条件だったら考える」と強調するように、自民党の本音は解散・総選挙だ。
公明党幹部も「(打診は)聞いていない。首相を代えても(協力は)厳しい」との見方を示す。同党と支持母体の創価学会は4月の統一地方選を重視しており、幹部は「解散は統一選後にしてほしい。(衆院選との)ダブルは困る」と6月の国会会期末近くの解散を視野に入れる。
菅政権の中枢は退陣論の打ち消しに躍起となった。民主党の安住淳国対委員長は記者会見で「首相は元気はつらつ。首相のクビと引き換えに関連法案? あり得ない」。枝野幸男官房長官も「首相も(岡田克也)幹事長も国対委員長も代表代行も、国民から課せられた課題を前進させる責任を全うしていくことについて、全員一致している」と強調した。
野党の協力を取り付ける展望は見えず、衆院解散に追い込まれれば惨敗が濃厚。首相に批判的な参院幹部の一人も「菅を代えてどうする? 続けるしかないだろう」と語るしかなかった。【野口武則、岡崎大輔】
(毎日新聞 2月18日(金)21時40分配信)
お読みになりましたらぜひクリックをお願いします。

Posted by おだっちの菜の花油 at 22:20│Comments(0)
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。