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2011年08月11日

豊かな命の宝庫 誇り胸に養殖再開へ




  豊かな命の宝庫 誇り胸に養殖再開へ    


 【海、よみがえれ 被災地を潜る】

 水深5メートル。太平洋の大きく、ゆったりとしたうねりに漂うワカメやヒジキが頬をなでる。目の前を小さなウミタナゴの群れが通り過ぎ、40センチほどもある大きなアイナメが足元で身を翻した。

 宮城県気仙沼市の唐桑(からくわ)半島沖。がれきが撤去されたエリアの漁場を潜った。ここまで案内してくれた船長が自慢した天然のアワビやウニ、それにホヤ。なるほど、形のよい良質のものが岩のあちこちにくっつき、成長している。

 ちょうど5カ月前、猛烈な津波に襲われた磯は今、生き物を育む海藻の森が育ち、豊かな命の海に戻っていた。

 震災前、唐桑半島では波穏やかなリアス式の入り江にカキやワカメ、ホタテの養殖棚が数多く浮かんでいた。中でも養殖ガキは地元の自慢。宮城県漁協唐桑支所の立花洋之支所長(51)も「身が大きくて、プリッとしておいしい。どこにも負けない味です」と胸を張る。年間出荷量はむき身で約60トン、殻付きで100万個にのぼったという。

 その養殖棚が津波で破壊され、半島の16漁港はいずれも大打撃を受けた。カキの殻をむいたり、ワカメをボイルする共同処理場も流され、その後の地盤沈下による港湾施設のダメージも大きい。

 今回の津波を教訓に、地元漁協はさまざまな見直しを行った。養殖棚を従来のいかだ式から、波に強いといわれる延縄(はえなわ)式に転換していくのもその一つ。もともと潮の流れの速い湾の入り口付近では行われていたが、潮通しがいいためカキの成長が早く、シンプルな構造で作業もしやすいという。

 「単に災害に強いからという発想ではない。生産者、消費者にとってより良いものを作りたいという思いが震災を機にさらに強まった。再開に向け、知恵を出し、力を合わせて頑張っていきたい」と立花さん。

 唐桑の海の生き物は今回の津波にも負けなかった。その残された海の幸をいかに生かし、復興につなげるか-。「唐桑の誇り」を胸に、漁業関係者の挑戦が始まった。(写真報道局 頼光和弘)

 (産経新聞 8月11日(木)15時34分配信)





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Posted by おだっちの菜の花油 at 18:21│Comments(0)
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