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2011年08月16日

20年目のビザなし交流/上 止まらぬ外資進出




       <遠ざかる北方領土>
         20年目のビザなし交流/上 止まらぬ外資進出


 ◇日本企業「自粛」に不満
 北方領土へのビザなし渡航で日本の訪問団が択捉島を訪れた今年7月9日。訪問団の行事をよそに、創立20周年を迎えた島の水産会社「ギドロストロイ」本社で、米国の水産大手「トライデント・シーフード」(本部・シアトル)のバンドラント社長を招いて記念式典が開かれていた。

 ギドロ社は北方四島を管轄するロシア・サハリン州で最大の水産会社。一方のトライデント社は、アラスカ産サケなどを加工して日本はじめ世界各地に輸出し、「ギドロ社からも水産物を購入している」(同社)という。択捉島が国際的な水産ビジネスの舞台になっている実態が浮かぶ。

 サハリン州は昨年から韓国と中国で経済フォーラムを開き、四島への投資を要請。ナマコやホタテの養殖の合弁事業が水面下で模索されている。択捉島で建設中のディーゼル発電所は米国製の発電機を使用。

 07年に稼働した地熱発電所は「イスラエルとの合弁事業で新しいタービンに取り換える」(行政府職員)計画だ。建設会社「トルード・サハリン」は7月から、住宅建設のため国後島に中国人労働者を送り込み始めた。「固有の領土」と訴える日本を尻目に、ロシアによる四島の対外「開放」が進められている。

 択捉島では2年半後の開港を目指して新しい「国際空港」を建設中。滑走路は当初計画より延びて2700メートルになる予定だ。実現すれば韓国・仁川や中国・北京との国際線も運航可能になる。

 新空港の背後にそびえ「択捉富士」と呼ばれる散布(ちりっぷ)山(標高1587メートル)など、豊かな自然を求めて大勢の外国人観光客がロシアのビザで訪れる可能性がある。

 実際、6月にはロシアの旅行会社が企画したサハリン―千島列島―カムチャツカを14日間で巡るクルーズ船が択捉島に立ち寄り、外国人36人とロシア人8人が温泉や火山などを巡った。近年、2カ所の温泉リゾートも整備された。

 こうした現状に、一部の日本企業は「ビジネスチャンスに乗り遅れる」としびれを切らし始めている。北海道根室市の水産関係者らは今年1月と4月、ウニ漁の合弁事業を模索し、ロシアのビザを取得して国後島へ渡航した。

 だが、日本政府は閣議了解で、国民がロシアのビザで北方四島を訪れることの「自粛」を求めており、この関係者は渡航後、外務省に呼び出されて厳重な注意を受けた。

 昨年7月、択捉島にある日本製イクラ分離器のメンテナンス作業チームの一員として島を訪れた日本の商社マン(64)は、ロシアのビザで渡航したことが発覚し、仕事の継続を断念した。

 「日本は近いし、日本製の機械は優秀なので島側のニーズは大きい。事実上の渡航禁止は良策とは思えない」と語る。

 日本人に公に認められた北方四島への限られた渡航手段である「ビザなし交流」は20年目に入ったが、領土問題解決の糸口は見えないままだ。

 一方で、四島を実効支配するロシア政府が巨額の予算を投じて07年に始めた新しい「クリル諸島(北方四島を含む千島列島)社会経済発展計画」で、島のインフラ整備が急速に進む。「遠ざかる」北方領土との交流を今後どう進めるべきなのかを探る。

(毎日新聞2011年8月16日(火)13:00)





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Posted by おだっちの菜の花油 at 13:55│Comments(0)
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