2011年09月21日
東電賠償、基準あいまい 長期化必至で被災者に負担
東電賠償、基準あいまい 長期化必至で被災者に負担
東京電力が発表した農漁業者や個人事業者向けの損害算定基準は、休業や風評被害などケースごとに多岐にわたり、計算式も複雑だ。算定根拠には、あいまいな部分もあり、今後、東電と被災者の間で行われる賠償交渉で紛争の火種となる恐れがある。国の原子力損害賠償紛争審査会が仲介する仕組みはあるが、交渉の長期化は避けられず、被災者は重い負担を強いられる。
「(地震被害と原発事故被害の線引きは)確かに難しい作業。満足してもらえないかもしれないが、これがこちらの考えだ」
東電本店で21日会見した広瀬直己常務は、算定基準の根拠を問われると苦しい表情を浮かべた。阪神・淡路大震災を参考に、観光業の風評被害で減収の一律20%分を対象外としたことについて、「合理的な水準」と説明したが、説得力は乏しい。
風評被害は、出荷制限や事業休止による被害に比べ、広範囲の分野や地域に広がる。だが、今回示された以外の事例について、広瀬常務は「広く相談に応じていく」と述べるにとどめた。風評被害は線引きが困難なうえ、無制限に認めると、賠償額が際限なく膨らむことになる。
東電との示談交渉が成立しなければ、国の審査会が設置した「原子力損害賠償紛争解決センター」に申し立てる。センターの仲介でも和解できなければ、裁判で争うことになる。
原発事故の賠償交渉の前例は、半径350メートルの約150人が避難対象となった平成11年の茨城県東海村のジェー・シー・オー(JCO)の臨界事故しかない。すべての案件の決着には11年を要した。
事故の完全収束のめどが見えないなか、避難による直接被害に加え、風評被害も長期化が避けられない。3カ月ごとに被害を申請する必要がある被災者の負担も含め、被害の全体像はまったく見通せない。
(産経新聞 9月21日(水)20時53分配信)
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Posted by おだっちの菜の花油 at 21:20│Comments(0)
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