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2011年09月26日

「プルトニウムと塩は大差ない」の教授へのカネ



     「プルトニウムと塩は大差ない」の教授へのカネ

 政府が原発の再稼働問題で二転三転する中、政・官・財・学が一体となった“原子力村”は、巻き返しに必死だ。佐々木奎一氏が、推進派の実態をレポートする。

 3月28日、福島第一原発敷地内の土壌からプルトニウムが検出されたことが公表された。その6日後の4月3日、テレビ朝日の番組に出演した北海道大学大学院の奈良林直教授(工学研究科原子炉工学研究室)は、なぜか妙に明るい表情で、こう発言した。

「塩を200g摂ると、致死量といって成人男性の方は半分の方が亡くなります。200gの塩で。ところがプルトニウム239を飲み込んだ場合の致死量は32gです。ですから飲み込んだ場合の毒性は、塩とそんなに大差ないんです」

 この「プルトニウムは塩と大差ない」発言の奈良林氏は原発行政をチェックする原子力安全委員会の専門委員を務める。その同氏について、過去5年間の「奨学寄付金」「共同研究費」「受託研究費」の実態を情報公開請求によって調査した。

*「奨学寄付金」「共同研究費」「受託研究費」 「奨学寄付金」は研究や教育のために、民間企業や個人が特定の教授や講座を指定して資金を提供できる。「共同研究費」とは、製品開発などを目的に企業などが大学教員と共同で研究を行なう際の経費負担。「受託研究費」は、教員に研究を委託した場合の経費負担。
結果は案の定と言っていいだろう。

 「東京電力」そのものからのカネの流れがあったのだ。

 東京電力から奈良林氏へ、06年度に800万円の原子炉にかかわる「受託研究費」が渡っていた。同じく「共同研究費」では、07~10年度に、原発の水蒸気が流れる配管のメカニズムなどに関する研究を、計2305万5940円で契約している。

 過去に報じた東大、京大、東工大などの専門家たちには東京電力からの直接のカネはなかった(あくまで電力会社が出資する企業などからの資金の流れ)。奈良林氏については東京電力との、より“密接な関係”がうかがえる。さらには「資源エネルギー庁」からの受託研究費も4年間で約6400万円あった。

 その他にも、奈良林氏への資金の拠出元には、電力会社が出資する「日本原子力発電」や東芝、日立といった原発メーカーの出資する企業などがある。

 その総額は約1億4900万円。

 情報公開請求の結果が出るには数か月の時間がかかる。事故直後にこうしたカネの流れがわからない中で、「プルトニウムは塩と大差ない」といった発言をし、それが公共の電波で流れる今になって振り返れば、原発推進派の巻き返しは、事故直後から始まっていたと言っていいだろう(東京電力は「共同研究をしたから奈良林氏がああいう発言をしたという認識はない」と回答。奈良林氏からは締め切りまでに回答なし)。そして、その動きは加速している。

 文=佐々木奎一(ジャーナリスト)
【PROFILE】1975年北海道生まれ。2001年から専門誌記者の傍ら、税金の無駄遣いなどをテーマに週刊誌などで執筆。05年からフリーランスに。

                (SAPIO 2011年8月3日号掲載) 2011年8月22日(月)配信 より転載。




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Posted by おだっちの菜の花油 at 09:01│Comments(0)
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